竜の子太郎

夏、東京で日本漫画映画の全貌を行った時ビデオで見た、小田部洋一の手がけた「黒鬼と太郎の戦い」のシーンがかなり気になってたので借りてきた。
このシーン、レイアウトから面白いんだな。棍棒を振り下ろして、岩石を砕くカットとかすごくいい。さらわれた女の子(さや)がやたら上手くアンダースローで石を投げつけるカットと、黒鬼に太郎が超電磁スピンをくらわすカットには笑ってしまった。太郎はともかく、さやもそんなに運動神経よかったのか(笑)。あと、小田部洋一といえばやっぱり水。ホルスの船出のシーンもすごかったけど、竜の子の、池から水を引くシーン、水車を回して田んぼに水を引くシーン、ラストの竜に乗って湖の岩を壊すシーンと水関係のシーンはどれもいいなぁ。北斎みたいな水の表現をかなり細かく動画でやってる。細かいしぶきが吹きだす様は今のアニメではあまり見られない気がする。ところで、小田部洋一の描く女の子って、実はかなり今風な感じするのは自分だけかな。

しかし、この竜の子太郎、イマイチ話がわかんなくなるんだよな。太郎が100人力を得るとこからはじまって、話があまりに強引に進んでいってないかな。太郎はお母さんを探して、北へ旅してるってことだけど、見てると行く先々で哀れな農民を虐げる権威的なものや搾取するものを、こらしめて行くのに気を取られて、いつのまにかそんなこと忘れてしまうんだよな。農民>お母さん。
さやという少女もかわいいんだけど、いまいち役割がはっきりしない。突然、太郎についていくと言い出すとか、生活の基盤が無いようなこと言い出すし。
人間になったお母さんと再会するとこにもあまりカタルシスが感じられないんだよなぁ。やっぱり、全体の構成の問題なのかな。