北大映画祭

今年も行ってきました。


今回の目玉は鳥肌実審査員。集客力あるかと思いきや意外にも集客数は昨年と変わらず。彼の遅刻により30分遅れで上映会は始まる。


今回も全国の学生映像団体に声をかけ、応募作品を募り1次審査を通った作品を上映。(実行委員談)ホームの北大からはアニメ研、映研からそれぞれ1作品、他3作品が他大学の作品。夕張の学生映画祭からの特別招待作品が2作品(内、1作品は鳥肌実遅刻の影響で上映されず)


・上映作品リスト
http://circle.cc.hokudai.ac.jp/huf/movie/sakuhin.html


グランプリは九州大学映画研究会の「倉知と夏衣」、準グランプリは北海道大学映画研究会の「賑ヤカナ午後」、観客賞は慶應大学MOVEの「こいのぼり」。


まずは観客賞の「こいのぼり」という作品。脚本、演出、撮影、芝居、CGどれをとっても学生映画の域を出たセミプロ作品。かかってる費用が他のものとは比べ物にならない。 映像系研究室のプロダクション作品ではないかな。他にも小学生やバレリーナなどの役者をそろえ、カメラや機材など他作品とはお金のかけ方が全く比較にならないもので、良い作品ではあったが、審査基準の「学生らしい」というところから外れたため、審査員賞を逃す。


準グランプリの「賑ヤカナ午後」という作品。日常と非日常を組み合わせたショートストーリー。新しい音響効果を目指しただけあって、音から来るイメージングは見事。ただ、スタイルにこだわりすぎて映像自体の味が薄くなってしまってるのが惜しい。監督の吉井君の作品は処女作からずっと見させてもらっていて、個人的に期待してるが今回は正直イマイチ。北大の映画祭で受賞者が授賞式に居ないということ考慮しての出来レースの疑いいさえ感じてしまう。(昨年は一人しかいなかった)


グランプリの「倉知と夏衣」は良くも悪くも大学の映研らしい作品。今回は全体的に他のものの味が薄かったため、相対的に一番味の濃いものだった。技術や機材とは関係の無い作者自身の思い入れは一番強く感じられた。他は自分には理解できず。


実は北大アニメ研からは、「ぼうしっ!」の他に「Memories of Rain」という作品も出していたが、こちらは一次審査で落選したことをアニメ研のメンバーから聞く。


「ぼうしっ!」という作品は女の子が飛ばされた帽子を、キャラクター性豊かな動物達に出会いながら追いかけるという作品。カメラワークで繋げながらほのぼのと見せる7分ワンカットの作品でアニメーションとしてはすごく面白い。


一方の「Memories of Rain」は作画はイマイチだが巧みな構図と演出、奇をてらわず、丁寧にカットを積み重ね
じっくりとストーリーを見せる作品。なんと作画枚数200枚弱で7分以上見せている。個人的に好きなタイプの作品ではないが、作者の繊細な気遣いと控えめながらも力づよい作家性を感じさせる良い作品だった演出的には完全に映画。他の作品と比べてもこれが落選する理由が見当たらない。


実行委員はイベント的に優遇される北大枠(本当は無いことになってるもの)で映研とアニメ研から1作品などと考えていたのかもしれないが、映画祭という場所を考えて、映画としての評価を観客から募るならば、「ぼうしっ!」よりもむしろ「Memories of Rain」を選ぶべきだったのではないかと自分は思った。これは映画祭におけるアニメ作品の上映自体が単なるバラエティの1部でしかなく完全に評価の対象から外れていることの現れに見てとれる。これは出してる方に失礼。アニメ自体の評価を軽んじるならば、いっそのことアニメ作品自体の募集を受け付け無い方がまだマシ。


審査員として鳥肌実を呼んだことも失敗。審査コメントそっちのけで「映画とはこういうものだ」的な自分語りを始め、一通りしゃべり終えると、靖国問題について演説を始める。靖国問題は芸人の芸として楽しめたが、映画に関しては別。映画中でのCG使用や、映像を制作した監督不在の上映会に対する不満をグチグチ言い出すのは大人気ない。しかし、終わった後も芸人としてのサービス精神にはサインや写真に快く応じるサービス精神には感心した。彼が自分の髪を撫で出すと、マネージャーがすかさず櫛を持ってくるあたりもある意味面白い。最新型の携帯電話でメールしてる鳥肌実には違和感感じるよ…。


全国からいくら作品を集めていても、適当な審査員や客のコメントを返していては段々と作品集まらなくなって来るはず。今年で2年目の北大映画祭。3回、4回と回を重ねていくのならばお客や上映会自体の質が問われるような時期にさしかかってると思われる。


ちょっとだけ写真



追記:映研出身で審査員の早川渉監督は会場に来ず。例の「の・ぼ・り・べつ といえば?」のネタをかまそうと思ってたが失敗…。
http://d.hatena.ne.jp/takeshito/20050428