「スライム冒険記 〜海だ、イエー〜」

カントク:湯浅政明
脚本:あみやまさはる
キャラクター設定、作画カントク:海谷敏久
原画:宮沢康紀、大塚伸治、鍋田香代子、樋口香里、佐藤雅弘
   浜名孝行、池田克己、関根昌之、柳田義明、吉原正行
   安藤真裕大平晋也古賀誠、井上哲、木村裕孝
   新田靖成西村博之

これを見るのに2年もかかってしまいました。湯浅さんが「水」をテーマにする作品を作るといったらアニメファンなら見るしかないじゃないですか!湯浅さんの独特の画面に個性的なアニメーターが動きをのせるという画面構成で、非常に見ごたえのある映像になっていました。これは大満足ですよ。前半の洪水で家が流されて、一階部分が水で覆われるという設定や、それに順ずる大塚さんの芝居も良かったのですが、やはり見どころは海が真っ二つに割れて、「水の巨人」が出てきてから。見間違えようのない大平作画です。圧倒的すぎて語る言葉も見つからないです。別次元の世界。続くジジイのドラゴンが火を吐くところは宮澤さんなのでしょうか。火にあたった水が蒸発し、鳥になって飛んでいくというのが湯浅さんらしくていいですね。荒れ狂う海と戸惑いながらも、船を漕いだり、泳いだりしてがむちゃらに動きまくるキャラクター達、単純なことかもしれませんが、こういうのが見られると「動く世界」であるアニメーションは面白いな、と改めて感じさせられます。


自分なんかはもう大平さんの作画が画面に出てくると、圧倒的な作画力に飲み込まれてしまって、そこで満足してしまうあまりよろしくない傾向があります。ちゃんと他の人も見なければ(楽しもう)と思っていても、あのパワーを見せ付けられるともうお手上げなんですよ。最近のIGの仕事では「水」関係のシーンが多いですね。テニプリのモーターボートや、お伽、ツバサの洪水など。変わったところでは風人の「空一面を覆い尽くす猫の群れと、猫の竜巻」。どういうシークエンスなのか言葉じゃさっぱり伝わりませんが。おそらく大平さんはコンテに沿って画面を作ると言うより、コンテも自分で切って1から画面作りをされてるのではないかと思います。画面の中のキャラクターを動かすという段階を超えて、画面全体を動きで支配するというスタイルになってしまっているので、当然といえば当然なのですがやっぱり大変な作業ですよ。さらにあのタッチを画面に出すために動画や撮影も相当な苦労をされてることと思います。IG内に「大平晋也対策本部」が設置されるのも無理はない話(笑)


ところで、大平さんと似たような仕事をする人で「原田慎之介」という人がいまして(笑)、4℃の「GENIUS PARTY」で「わんわ」という作品の監督をされることになっていたのですが、「Invitation 」の12月号で『「わんわ」 / 大平晋也』と書いちゃったみたいですね。