キャッツ・アイ 43話「おいしい生活」

シナリオ:日暮裕一
ディレクター:こだま兼嗣
原画:神村幸子、川越ジュン、あべじゅん子、菖蒲隆彦

前話でなりゆきでトシが3姉妹と住むことになってしまったことで、キャッツ・アイとしての仕事に差し障りが出るのでアレやコレや(色仕掛けなど)で追い出す話。トシのことで3姉妹がケンカする(という芝居をする)ところは非常に面白かったです。


こだま回にしてはめずらしく日常芝居がメインです。アバンタイトルでタオルと間違えてパンツで顔拭いて瞳にピンタされるカット、ピンタした後の瞳のフォロースルーがちょっと面白いです。ピンタされて吹っ飛ぶトシはやっぱり青木テイストなんですね(笑)タイトル後4人で食卓を囲んでいるカットもしっかりとしたレイアウトで書かれていて好感が持てます。朝、遅刻しそうになって犬鳴署へと走っていくカットは高畑系ですね。公園のベンチで瞳とトシが昼食を食べてるカットがあるんですが、ここの子供の芝居が良いんですよ。水を飲もうとした男の子が一輪車で遊ぶ二人の女の子が気になって水を飲むのをやめて追いかけていってしまう。本筋とは全く関係ない日常風景の描写なんですが、良い味出してます。レイアウトも決まってますね。美術館に車で曲がりながら乗り付けるカットがあるんですがこれも地味に難しいんですよ。ちゃんと車のパースを理解していないと書けないカットです。ファスナー降ろして下着姿になってしまった泪の部屋からトシが慌てふためきながら出て行くところも高畑系です。頭をフラフラさせるところから面白い作画してますね。こういうのは好みですよ。風呂場でジャケットを脱いで洗濯カゴに入れるカット、地味ですがジャケットの重さを感じさせるすごく良い芝居しています。これは誰だろう。今回は撮影ミスなのか時々画面がグラグラ揺れるのが残念でしたが、内容としては満足できる話でした。


キャッツ・アイとしての派手なアクション無しで日常芝居で見せるのは珍しいですね。キャッツ・アイはお色気豊富と思われがちですが、実際見てみるとOPを除けば意外な程少ないんですよ。これは今のアニメが多すぎとも言えますが。


追記:最近読み始めてくれた人は『高畑系』と書かれてもピンと来ないですね。すいません。補足すると『高畑順三郎』系という事です。高畑さんは東京ムービー系作品で活躍された人で芝居がかった非常に味わい深い作画をされます。神村幸子(児玉幸子)さんの師匠筋にあたり、自分の大好きなアニメーターの一人です。引退されてしまったのか近年行方がわからなくなってしまってます。(某所のQ&Aコーナーに投稿済)
・高畑順三郎参加作品リスト
http://d.hatena.ne.jp/takeshito/20051102