新竹取物語1000年女王 01話「1999年9月9日零時9分9秒」

脚本:藤川桂介
演出:西沢信孝
作画監督:及川博史
作画:兼森義則 稲野義信 及川博史
   山本徹 松本美代子 渡辺明美 高橋朝雄 

開始直後、望遠鏡を始が望遠鏡を担いで
屋根からパタパタっと降りて来て、望遠鏡を机に。
窓の外の怪しい人影に怪訝そうな顔をして
窓とカーテンを閉めるあたりが稲野さんでしょうか。
相変わらず流れのあるいい芝居でした。


食卓シーンは全体的にいい芝居でしたね。原画は混ざってる感じがしました。
始の母の顔がアオって顎を強調してたりするのは稲野さんなんでしょうね。


舞台は変わって筑波山天文台でモニターで
コントロールルームに走る弥生(?)と所長はモロに稲野テイスト出してます。
特に弥生が手首利かせすぎです(笑)


翌朝、布団に包まってる始が母の声で目を覚まし、
机の上にある新しい天体望遠鏡に気がついて飛びつくシーンも
稲野さんではないかと思います。
布団のやわらかい感じや、飛びつく始の芝居に特徴ありますね。


コート姿の男がトラ猫とやりあってるところもおそらくは稲野さん。
男が棒切れを振り回すところもいいんですが、
一番良いのは男が始に気がついて立ち止まるところ。
動きのフォローでコートが前にフワッと揺れるんですよ。
ここが実に良い味を出してます。


学校で始が先生に怒られてるところはモロ稲野さんっぽいですね。
先生やクラスメイトのキャラがほとんど稲野絵。
それぞれの手つきがかなり稲野テイストだしてます。
ここで爆笑してしまったのが先生の喋り。先生、アゴ動かしすぎですよ!(笑)
稲野さんは湖川さんを尊敬してるのか、馬鹿にしてるのか時々わからなくなります。


始の夢の中で弥生がコートを着た男に襲われてるところも稲野さんでしょうか。
壁際に逃げていく弥生の細かい芝居の入った動きがたまらない!
こういう限られた枚数で細かい芝居を入れて魅せるという作画では
稲野さんの右に出る人はいないんじゃないかと思います。
芝居という点では高畑順三郎さんや神村幸子さんもかなりいいんですが。
いずれにしても最近のアニメではもう見ない作画スタイルですね。
もしかしたらもう絶滅してしまったのかもしれません。


怯えるところの手つきもすごい怪しいです。
弥生がアップになるところはおそらく原画が稲野さんで
その上に修正が載ってるんではないかと思います。
一方、夢の終わりで弥生が「ありがとう、ぼく」というところは
最初から兼森さんか及川さんだと思います。


コート男に始がパンチするところは
手首が下を向いてて見てる分には面白いんですが、
実際アレやったら手首痛めますよ(苦笑)
シティーハンター3の6話で海坊主がマジックミラーに向かって
パンチするところも同じパンチしてます。


学校帰りに始が商店街を自転車で通り過ぎるところもおそらく稲野さん。
画面手前に子供が飛び出してくるんですが、それがすごくいい動きしています。
ここはおそらくレイアウトから稲野さんが書かれたんではないでしょうか。
本編とはほとんど関係なく路地で「はしゃぐ子供」というのは、
アニメーターの遊びどころというか腕のみせどころになってるように思えます。
ぱっと思いつくところでは、恋風灰羽松本憲生さんや、
KURAU沼田誠也さんのカットなど。


前にも書いたかもしれませんが、稲野さんは普通の芝居の感覚とは
違ったものを持ってるような気がします。映画やドラマの芝居というよりは舞台芝居。
漫画家でいうと中澤啓治さんのような。中澤さんは本当に舞台をやってた人ですが。


1000年女王に限ったことではないですが兼森さんのアイキャッチは毎度いいですね。