五十嵐卓哉の国のハルヒ

桜蘭高校ホスト部 第13話 「不思議の国のハルヒ
脚本:榎戸洋司 絵コンテ・演出:五十嵐卓哉 作画監督倉島亜由美 原画:伊藤嘉之 水畑健二 小平佳幸 鈴木典光    和田高明 奥田淳 貞方希久子 山口智    安彦英二 岩崎秦介 稲留和美 竹内旭    高野恵子 中井準 永井達郎 佐光幸江    倉島亜由美

ホスト部らしい端整な作画に全編にゆきわたる五十嵐卓哉演出
デフォルメの利いたコミカルな作画が加わって
今まででベストに近い出来だったと思います。
それも納得のスタッフ編成。一騎当千の方々が入ってます。
鈴木典光さんの本編原画参加は久々に見た気がします。
ホスト部は徐々に元エウレカスタッフもシフトしてきているみたいですね。


アバンタイトルでウサギを見つけてから
穴に落ちていくまでのデフォルメの利いた作画が非常に目立っています。
走り出す際の体重の乗せ方は今風で手のフリに大げさなタッチを
つけてさらにブラー処理を乗せています。


続くハルヒの横走りにもよく見るとなんと残像の手が入ってますね。
カクッとしたタイミングでバランスを崩しながら
走るハルヒの様子がよく描かれていました。
なんか一枚異常に手がデカい絵が入ってるのが気になりますが(笑)
落ちていく際に慌てるハルヒの指はまん丸で
穴の落下中はハルヒの眼球にもものすごい残像。
これすごいですねぇ!


タイトル後に続く穴の中をハルヒが落下していくカットは
なんとなくですがうつのみやさんが担当された
エウレカのOP3を思い出させられました。
あちらは沓名健一さんが担当されたカットでしたっけ。


着地してからもデフォルメ作画は続きます。
暗闇でバナナに豪快にすべるハルヒが楽しい仕上がり。
こちらは細かいタッチで処理されていますね。
カウントダウンする演出はコントですよ(笑)
こちらの穴からの落下は先の落下カットを反転して使っています。
水に落下して目を覚ますあたりはちょっとナージャOPを思い出しました。


ホスト部部員登場後はメカワニ登場のあたり目立った作画もありましたが、
作画よりも演出に注意がシフトしていった気がします。
異世界を白を貴重とした小林七郎風味のコントラストをつけた背景で描いて
非日常感を高める演出はファンファンファーマシーの
43話『ほんのなかのぼうけん』 でやられていた演出に近い形です。
自分がこれで初めて五十嵐卓哉さんの名前を覚えました。
ここは風山十五としてウテナに参加中に幾原邦彦さんの影響を
モロに受けのではないかたと当時考えました。
ホスト部全体に幾原さんの、ウテナの雰囲気はありますよね。


プールサイドでのカメラ水平で水面に映しこまれた風景を見せるような演出は
同じく橋本カツヨとして参加された細田守さんも一時やられていた手法ですね。
双子が次々と出てくるカットでカメラ切り替えで
順光と逆光を交互に入れてくるあたりも見事でした。
こういう見ている側に不思議な違和感を感じさせるのは
演出上の間の取り方と光のコントラスト、
画面密度の緩急のつけ方がさせているのかと感じました。


ラストの裁判シーンの畳み掛けるような展開も
見ていて気持ちのよいものがありました。


13話は作画で切り取っても演出で切り取っても見ごたえのある回で非常に楽しめました。
演出よりの視点で書かれた文章があれば非常に読んでみたいところです。


最初は固かったホスト部の作画も段々とゆとりというか、
おおらかさが出てきて作画ファンに優しくなってきたように思えます。
これからも期待しています!