いまざきさんの好きなアレ

「ふんわり名人」の開発者の話が今日の日経に出ていました。


もう58歳にもなる越後製菓の開発者の方が製造のポイントとして
「できるだけ冷蔵庫を使わずに乾燥させる」と言っていたのを
ちょっと考えてみた。それなりに専門的な話。


新潟の食研のテキストによると通常餅米菓は、
餅を蒸かした後、箱(円盤)取りという工程で、
餅を箱(円盤)に詰めた後冷蔵庫(または冷凍庫)にて
5時間以内に5℃まで急冷し、その後冷蔵庫で
1〜2日間冷して固める。その後切断工程を経て1次乾燥、
さらに1〜2日寝かせて2次乾燥を取った後、釜で焼きます。


糊化したデンプンは冷やされることで老化し、
水をその構造内から離してしまいます。
急冷させるのはできるだけ水を構造内から逃がさないように、
デンプンの老化を抑えるため。


餅は柔らかいと切れないので
餅米菓は成型の為に冷蔵工程を経なければならないのが常識なんですが、
「ふんわり名人」はできるだけ老化させずに焼くために
たぶん板取り後、1日ないし半日冷蔵、まだ柔らかい状態の餅を
水切りのような方法で切断、そのまま乾燥、という工程を踏んでいるんじゃないかなぁ。
ここらへんは切り餅売っている餅屋ならではの技術。


餅も粳も米菓が膨らむのは生地中の水分が一気に蒸発する膨化力。
老化が進むとデンプン分子内の水分が少なくなるため膨化力は下がります
膨化する瞬間の周りの温度が高かったり、
生地の油や糖などでコーティングすることで
水が抜けにくくなったりすると内圧が高まり膨化力は大きくなります。



「ふんわり名人」は裏面見るとトレハロース入っているので、
トレハロースで生地をコーティングすることで、
その保水作用により膨化力を上げてああいう
ふんわりとした浮きを可能にしているのかも。
トレハロースは単なるベタつき防止かもしれないですが。


まぁ何はともあれ一朝一夕ではああいうの作れないってことですよ(笑)